ひとり思想

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村上春樹の1Q84を読んだ感想

村上春樹1Q84を最近読み終えました。

私は全3巻を読み終えて、小説の面白さにどっぷりはまり込んでしまったようで、感想を共有したくてなりません。

まず、読み終えた直後はどっと疲れました。なにしろ長編大作3巻ですから……。

ちなみに村上春樹の作品で読んだのはこれが初めてです。彼の他の小説も、もっと読んでみたくなりました。

では感想です。

①非現実的なことが起きているのに非現実的でもないし、現実のような?
現実と非現実が入り乱れています。最初は現実だと思いながら読み進めるのですが、途中で非現実的な事柄が絡み合ってくるのです。でも、それはただのファンタジーやおとぎ話、異世界もののような感じではなく、自然と、最初からそうあったかのように、何の違和感もなくやってきました。ラストも現実なのか非現実なのか謎のままです。

②描写が細かすぎる
ここまで描写するか!というくらい細かい描写で、普通にお友達と語り合う内容ではないことまでも本当に細部までぬかりありませんでした。一つ一つの情景、動作が心に沁みわたりました。小説のテーマに必要?省いても良かったのでは?と最初は思うほどでしたが、それがあるからこそ、ラストまでこの物語の世界に私自身が入り込めたのだと感じます。

③さまざまな謎に解釈の余地が残されている
読み終わった後、インターネットで検索すると、やはり謎の解釈なるサイト等がいくつか出てきました。私も最後まで読んだものの、見落としている点もあるだろうし、最後まで完璧に理解はできていません。そしてこの小説に関する「解釈」というものがなされていることを知りました。しかし色んな捉え方ができるし、自分の知識や価値観では解けない謎があれば、そのままにしておいても面白いかな思いました。もう一度読み返す気にはなりません。なにせ、もうどっと疲れましたから……。

④全てに意味があると思える
一見、物語の進行には不要と思われるような描写でも、一語一語が鍵を握っているようでなりませんでした。そして、読み進めていくうちにそうだと思わざるをえないことになりました。

⑤アブノーマル(普通ではない)な出来事が不気味
「性」に関することが赤裸々に盛り込まれていました。ありえないしちょっと不気味というか、若干気持ち悪さもありました。決してきれいな「性」ではなく、え、という感じで……。人殺しに関しても、生かしてほしいと思う人もあっけなく殺されてしまいます。ラストで実は生きていた、なんてことは全くなく残酷な世界でした。



ざっと挙げた感想ですが、他にももっともっと言葉にできないような感じで最後は読み終えました。おそらく1巻で完結できたのではなかろうかというくらい長かったのですが、最後の登場人物たちも同じように長い年月を感じていたようです。これだけ長かったからこそ、登場人物の感じた長い年月にも感情移入できたのだと思います。こういう世界観、私は嫌いではないと思いました。そして、他の作品も読んでみようと思えました。

実際、寝る前に読むと、夢にまで出てきました。続きがどうなるのかと気になっているのもありますが、私自身が1Q84の世界に行きたくなってしまったのだと思います。決して、ジョークではありません。あまり面白くなかったという感想も目にしましたが、私はこういった描写や世界観にはまってしまいました。

心理学を学んでいると無意識の森に行くような表現がたまに出てきたり、見えない心の中をイメージで表したりするようなことがあるのですが、まさにこのお話は直接的な言葉では表現しきれない何かしら覆いかぶさっているような感じがしました。時々何度か文章を読み直さざるをえない時もありましたし。一般的な表現に見えてちゃんと理解しようとすると難しかったです。

背を向けたくなる生々しい出来事が直球で入ってくるのを楽しめるのも、小説ならではですよね。それがふんだんにあって、とても面白い作品だと思いました。

人にお勧めできるかどうかは……?